いつも関西福祉大学サッカー部を応援していただきありがとうございます。Cチームコーチ兼GKコーチの那谷(ぺぺ)です。
昨年は、関福大に着任してから初めてチームを持たず、GKコーチを軸として様々な学びを得た一年でした。今年は中田監督のProライセンス受講もあり、再びチームを持ち、GKコーチとの二足の草鞋を履く一年となりました。
今年担当したCチームは、4年生を筆頭に選手たちの頑張りでIL Division.2で大活躍。ブロック1位・Division.1昇格まであと半歩のところまで迫りました。シーズン終盤の劇的な展開の数々は、これからも忘れることはないと思います。そして、まだまだ力量不足な自分に首位争いを経験させてくれた選手たち。彼らには本当に感謝しています。次こそはもう一歩突き抜けられるように、この経験を活かしていかなければなりません。
唯一の後悔は、私が大切にしなければならないGKとの関わりが、昨年に比べて薄くなってしまったことです。Cチームを担当する以上、GKとの関わりには物理的な限界があります。それでも、西尾・杉野・石徳という素晴らしい選手たちが揃った学年に対して、もっと良い指導・強化ができたのではないか、もっと良い関わり方があったのではないかと考えてしまいます。もっと熱く、もっと効率的に、もっと効果的に、GKコーチとしての高みはまだまだ見えないほど遠い先にあるようです。
今日まで目まぐるしく、走り抜けるように過ごしてきた日々はあっという間に終わりを迎えました。
私はマルチタスクが苦手で、何より非常に“手が遅い”部類の人間です。何かをやり始める時、何かを選択する時、何かを決断する時に、私はいつも悩み、迷い、動き出せずにいます。
このブログを書くにあたっても、何を題材に書けばいいのか、いや、そもそも自分はこの一年間何を考えてきたのか、何をして、何を決断してきたのかが分からないといった状況でした。やることは数え切れないほどにあったはずで、その度にたくさん心が動いてきたはずなのに、それが思い出せない。「もしかして自分は何も考えていない空っぽな人間なのでは?」とすら思いました。
しかし、頭の中だけで悩んでいても仕方がないですし、今年一年何があったのかを整理しないことには次に進めないので、まずはやったことをひたすらに羅列していくことから始めてみました。
Cチームのマネジメント(日々のTR、管理、面談)、自チームTR以外でのGK-TR、自チームの振り返りMTG、トップチームのセットプレー担当(指導や映像分析・MTG)、SNS用動画の作成・投稿、十周年記念の企画(ウエア製作・販売、八年ぶりのサッカー教室復活)、大学とのやり取り・その他事務作業、初めての遠征企画、Cチームの躍進と積み上がる重責、自分自身の新しいTRへの挑戦などなど……。
こうして見ると、昨年に比べてだいぶ色々なことへ手を出しているように感じます。そして、ここまで来てひとつ気がついたのは、今シーズンは何も考えていなかった訳ではなく、次々と起きる新しい出来事に忙殺され、深く思考の海に潜った時間を忘れてしまっていただけなのではないか―――ということでした。
もちろん、その都度懸命に考え、深く深く思考を巡らしてきたことには自負があります。何度も悩み、迷い、ギリギリのところで決断を重ねてきたからです。
しかし、どうやら今年の私は、それらを置き去りにするしかないほどに、“次”が向かってくる毎日を過ごしてきたようです。
マルチタスクが苦手で、かつ手の遅い私がこれほどに濃密な時間を越えられたのは、関福大での六年間で少しずつでも成長できているからということでしょうか。そう信じたいものです。

毎年末に行っている部員と振り返り面談にて、なるほどと感心する話がありました。
後輩をどうやって育成していくか悩み続けてきたその学生は、一年の気づきとして「やるしかない状況が最も人が成長する」と考えるようになったと話してくれました。
なるほど、これには同意せざるをえません。
三年前のスタッフブログで、私も似たようなことを述べていました。
→「サッカーとサッカー意外と大学生と」
私は人が変化し成長するのに必要なのは、①心の底から変わりたいと願うこと(内発的)と、②変わらなければ生きていけない状況にあること(外発的)のふたつだと考えています。
面談でこの話をしてくれた学生は、あえて人為的・一時的に「②変わらなければ生きていけない状況」を生み出すことで、後輩の成長を促そうとしたのではないでしょうか。
もちろん、この手法には課題設定を誤れば対象が潰れてしまう危険性が潜んでいます。そこは自分だけの感覚ではなく、常にコミュニケーションをとり、相手を観た最適な環境設定が必要でしょう。
ふと考えてみれば、これは自分自身に対しても有効だと思います。意図的に自分を“やるしかない状況”へと追い込むことで、自らの成長の機会とするのです。
「退路を断つ」「背水の陣」「死中に活を求める」といった言葉が当てはまるでしょうか。
それでいうと、今年の私は幸運なことに“やるしかない状況”に自然と身を置くことができていたように思います。たくさんの素晴らしい機会を与えてもらい、時に自分自身で作り出し、深い思考を置き去りにするほどに、次の“やるしかない”に向かって突き進んできました。
よくよく見れば、人には毎日たくさんの小さな“やるしかない”の積み重ねがあることに気づかされます。
GKが相手FWの足元に飛び込んでいくとき、指導者が選手へ偉そうなことを言ったとき、選手同士が互いに強く要求し合うとき……。
そこにある小さな“やるしかない”は、気づかぬふりもできるほど些細なものです。しかしそれらから目を背けず立ち向かった先には、必ず“小さな覚悟”が積み上がっていきます。そして、この小さな覚悟の積み重ねこそが、困難に立ち向かう“大きな覚悟”を支え、人を強く大きく成長させるのだと思います。
大好きな漫画「ジョジョの奇妙な冒険」のセリフに「『覚悟』は『絶望』を吹き飛ばすからだッ!」「『覚悟した者』は『幸福』であるッ!」という言葉があります。ここで表現される覚悟の内容はこのブログのものとは若干違いますし、当時は「神父キャラが難しいこと言ってんな」くらいに思っていました。しかし、ここに来てそのセリフが、別角度から私の骨身に染み入ってきています。
真に覚悟の決まった人間は強いです。だってやるしかないのですから。そこに弱音や愚痴、他責思考の入る余地などはないのです。覚悟した者は成否に関わらず成長し、そんな人はきっとみな幸せなのでしょう。
私は依然マルチタスクが苦手で、手が遅い部類の人間です。
しかし、どれだけ時間がかかっても、自分自身にやるしかないと言い聞かせ続け、覚悟を研ぎ、前を向いて決断してきました。きっとこれからも、時間をかけながら小さな覚悟を積み重ね、大きな覚悟を研いでいくのだと思います。そして、そうやって研ぎ上げられた真の覚悟が、何物にも揺るがぬものになっていくと信じています。
覚悟が私を成長させ、覚悟が私を支えてくれるのです。
そんな覚悟する機会を私に与えてくれる環境に感謝しながら、この休みのうちに今年置き去りにしてきたものをとりにいきたいと思います。
最後になりましたが、日頃より弊部をご支援いただいている皆様に、この場をお借りして深く御礼申し上げます。
これからも関西福祉大学サッカー部を、Cチームを、GK陣を何卒よろしくお願いいたします。
Cチームコーチ兼GKコーチ 那谷ペペ侑平



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