昨日12月20日、蹴り納め兼納会(コロナ禍において例年より規模を大幅に縮小し実施)が終了し2020年のサッカー部の活動がすべて終了しました。
今年を振り返るとき真っ先に浮かぶことは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う様々な日常の変化だと思います。当たり前が当たり前ではなくなったとき、初めて「当たり前」の日常が送れることへのありがたさや新たな気づきを得ることとなりました。もちろんサッカー部の活動も自粛や制限を余儀なくされ、誰しもが経験したことのない日々となり部員はそれぞれに不安や戸惑いを抱えていました。そのなかでも6月からサッカー部の活動が段階的に再開することができ、公式戦(2部Aリーグ、Iリーグ)の日程がすべて無事に終了できたことに関して、ご尽力いただきました大学関係者、リーグ関係者の皆様にこの場をお借りして深く感謝申し上げます。

 さて、2部Aリーグにおいて2020年最大の目標であった1部「奪還」を成し遂げることができず非常に悔しいシーズンとなりました。1つの勝ち星、1つの勝ち点、1つの得失点、1つのプレーの“重み”を痛感することとなりました。この試合で勝ち点を取れていれば、、、このシーンで得点が入っていれば、、、などサッカーの試合における幾多のシーンでこういった感情になることは無数にあります。ただ、サッカーに限らず勝負ごとにおいて「たられば」は存在しないことは強く意識し分かっていたつもりでしたが、まだまだ自分自身甘かった、分かっていた”つもり”だけだったのだと感じると同時に改めて日々の取り組み、積み重ねが重要だということを実感しました。
 「結果を嘆くよりも、今までの過程を嘆け」という言葉は私がまだ20代前半、当時の監督から聞いた言葉です。勝負において「勝ち」「負け」「引き分け」という結果がでることは当たり前のことであり、逆にその3つの結果以外でることはないのだと。勝っても負けてもその結果に対してしっかりと受け入れられる覚悟と準備ができている人が勝負をする、ピッチに立つ権利があるのだと教えてもらいました。1つの勝ちで喜び達成感に満ち溢れ、1つの負けで嘆き悲しんでいては先に進むことも成長することもできません。結果に対して今までの自分自身の努力や取り組み、向き合う姿勢はどうだったのか?やれることを最大限にやりきったのか?そんな自問自答を繰り返し続けていれば必ず自分の思い描いた結果を手に入れることができると思います。今この瞬間はすぐに過ぎ去る「過去」に過ぎず、「未来」は今この瞬間を有意義に過ごした延長線上にあるものであり、シーズン終了後に1部復帰という結果を得るために、それに相応しい“重み”ある日々を積み重ね、納得のいく過程を築きあげれるようサポートしていきたいと思います。

 担当させてもらったC1チームは、Iリーグにおいて(2勝5敗、勝ち点6/得点6.失点27/8チーム中7位)という結果に終わりました。シーズンスタートの全体ミーティングでC1チームの目標は【昨年1勝よりも1つでも多く勝つこと】という現実的な目標を掲げました。その為に必要なこととして、試合前のミーティングでは必ず『積み上げと成長』というチームテーマを与え、勝っていても負けていても、プレーがうまくいってもいかなくても、得点しても失点しても、1試合90分という限られた時間の試合を無駄にしないこと、試合を決して捨てないことを選手たちには強く求めました。結果的に2勝と昨年からわずか1勝の積み上げしかできなかったものの、強豪大学に大敗、惨敗を喫しても誰一人として”積み上げる”ことをやめることなく日々のトレーニングに向き合ってくれました。
7試合しかなかったIリーグのなかでもチーム(組織)として少しずつ規律や厳しさが生まれ、グループとして支えあい助け合いという切磋琢磨・叱咤激励が生まれ、選手として自主性や自立心が生まれはじめ確実に”成長”してくれたと実感できたことが何より嬉しく彼らの努力の成果であると感じました。欲を言えばあともう少し、あと数試合させてあげたかった、したかったというのが本音です。それは彼らが公式戦を通して確実に成長し、少しづつではありますが手応えと自信を手にしかけていたからです。まだまだこれから選手としても人としても成長していかなければならない課題は沢山ありますが、その掴みかけていた手応えと自信は来シーズンへの期待として残しておくことにします。
 C1チームは、チーム内のカテゴリーで言えば上から3つ目のチームになります。1つでも上のカテゴリーでより“重み”ある試合に出場できる選手の輩出を目指しながら、日々選手たちと向き合い、ともに成長し、ともに結果を共有できるような2021年にできればと思います。最後になりましたが、C1チームを引っ張ってくれた井勢紘人、加藤敬明、川村太将の4回生の3名には本当に感謝しています。彼ら3名が真面目にひたむきな姿勢を持ち、どんな状況下においてもチームの為にプレーしていた姿は間違いなく後輩達の目にしっかりと残っていると思います。関西福祉大学サッカー部の歴史と伝統の1ページを作り上げてくれたこと、また新たな積み上げをする礎となっていることは間違いないと思います。

 来たる2021年のシーズンがどのような1年になるのか楽しみにしながら、しばしの休息と家族との時間を大切に過ごします。

 1年間、関西福祉大学サッカー部を応援していただきました全ての皆様本当にありがとうございました。

2020年12月21日 

関西福祉大学サッカー部コーチ 𠮷川 拓也