皆様こんにちは。
 ゴールキーパー 兼 C2チーム担当コーチの那谷です。

 新型コロナウィルスの影響で長期の自粛生活を余儀なくされてしまった今年は、ぎゅっと縮めれば数か月分の活動しかできなかったように感じます。そんな2020年も気が付けばあっという間に12月になり、日常とはかけ離れた今シーズンが終わろうとしています。そこで、遅ればせながら今年私が担当したGKとC2チームについて、簡単な振り返りを行ってみようと思います。

 まずGK陣を見てみると、トップチームは2部Aリーグ11試合で14失点(1位の大学+6失点)、Iリーグでは関福Aが6試合16失点(6位/7チーム中)、関福Bが7試合27失点(7位/8チーム中)、関福C1が7試合27失点(ブロック最下位)、関福C2 が6試合25失点(ブロック最下位)で、トップチームに関しては1試合平均1失点以上、Iリーグに至っては1試合平均2失点以上しているという、GKコーチとして喜ばしくない結果に終わりました。
 関福には上手いGKが多く、GKのテクニック、例えばセービングや低弾道のパントキックなど、私自身の現役時代とは比べ物にならないほどしっかりとしたものを身に着けています。しかし同時に、一つのミスや失点からうまく立て直せずに、そのままずるずると負けてしまうという脆さも併せ持っていました。
 シーズンが始まって試合を重ねるごとに素晴らしいプレーも増えてはいきましたが、「苦しい時に踏ん張り切れない」「勝たなければならない時にゴールを守り切れない」など、「GKのおかげで勝った試合」というのは結局数えるほどしかなかったように思います。
 どんな試合でも、勝利を挙げたチームには必ずと言っていいほどGKの活躍があります。言い換えれば、「GKの活躍がなければチームは勝つことができない」とも言えるかもしれません。これには、テクニックだけではない、ゴールを守るために味方を鼓舞し、体を張る。そんな当たり前の「ゴールを割らせない」ことへのこだわりが、コーチである私を含め足りていなかったのだと思います。チームが苦しい時にこそGKの心揺さぶるようなプレーが必要であり、失点してしまったとしても、常に前を向き、チームの先頭に立ち続けることでのみ、チームを勝利へと導くGKになれると思います。
 GKの後ろには守るべきゴールしかありません。つまり後ろ向きなプレーは選択できないのです。「『上手いGK』ではなく『勝てるGK』になる」ことを目指して、もう一度頑張っていかなければなりません。

 続いてC2チームのIリーグでの戦績は、6戦1勝5敗(5得点/25失点)でDブロック最下位という、非常に厳しい結果に終わりました。
 C2チームが始動してからというもの、チームとして勝利を目指す一方で、個人の成長とC1チームへのカテゴリーアップも考えていかないといけないという、強化と育成のバランスの難しさを感じる毎日でした。全国津々浦々から集まってきた選手たちにはそれぞれの個性があり、サッカー観やプレースタイル、日々のモチベーションから最終的な目標に至るまで、一人として同じ選手はいません。どうすればチームが勝てるだろうか、どうすれば各個人の特性を消さずに次につなげることができるだろうか、どうすれば充実した大学サッカーだったと思ってもらえるだろうか、と答えのないことをばかり考えていた気がします。
 そして最も難しかったのは(GKにも言えることですが)、サッカー以外の部分でチャンスを逃してしまう選手が非常に多くいたことです。試合に出るチャンスのあった選手が、遅刻などでそのチャンスを逃したり、上手いけど気分のムラが大きすぎて試合に出ても安定したプレーが発揮できなかったりと、安定して試合に出続けるということができないのです。

「大切なのは『時』を逃さないこと。

   チャンスが巡ってきても結果を残せなかったら意味が無いからね。」

 この言葉は私が憧れるGKの一人、元スペイン代表のイケル・カシージャス氏の言葉です。学生時代に初めてこの言葉を聞いたときは「ビッグチャンスを掴め」と言っていると思っていましたが、今では少し解釈が変わりました。ここでいう「時」の中には様々な意味が含まれているように思います。今この瞬間かもしれないし、シュートチャンスがきた時、絶体絶命のピンチの時、出番が回ってきた時、もしかしたらチャンスが巡ってくるまでの待ち時間かもしれません。ピッチ内外問わずどんな環境・立場・レベルであっても常に考え全力で取り組むことで、いつどんな時にチャンスが巡ってきても準備ができている状態になっていなければならない。そんな「小さな『時』の積み重ねを大きなチャンスを掴むきっかけとする」のです。一つのプレーで、一日のトレーニングで、ピッチ外で、全ての場所でその「時」を逃さないための取り組みがなされて初めて、ポジションを獲得し勝利という歓喜の「時」が得られるものなのだと思います。

 これは指導者となった今の私にとっても重要で、選手がいつどんなきっかけでぐっと成長するかわからない指導現場では、その「時」を逃さないために常に準備をし、様々な角度から選手へとアプローチし続けなければならなりません。もっと面白いメニューを、もっと効率的に、そしてもっと的確なコーチングをここぞという時に行い、選手の可能性を余すことなく引き出せるチャンスを掴めるように、私はこれからも小さな「時」を積み重ねていくことが必要だと思うようになりました。

 関福に来てから学びの連続です。悩み、後悔し、反省しては次に向かうという毎日ですが、大学生にとっての四年間という貴重な「時」を決して無駄にしてしまわぬよう、まず指導者である私が毎日の「時」を大切にしていきたいと思います。

 最後に、冬の厳しい寒さの訪れとともに、新型コロナウィルスの第三波もやってきています。世界的に見てもその猛威は未だ衰えておらず、日本でも様々な被害が出ています。そんな中にあってもサッカーができているこの幸せな「時」に感謝して、日々全力でグラウンドに向かっていきたいと思います。

 新型コロナウィルスの感染拡大がより早く終息することと、皆様の健康と安全が無事でありますように。

ゴールキーパー 兼 C2チーム担当コーチ
那谷侑平