本日行われた公式戦の結果は以下の通りです。

vs.近畿大学(11:30キックオフ) 場所:ヤンマーフィールド長居

0-1
(前半:0-1、後半:0-0)
【得点】なし


昨年の昇格を決めた歓喜から約1年。5年目にして掴んだクラブ創設後初めての関西1部リーグは、非常に厳しいステージであり選手たちも苦しんだシーズンになりました。2部から昇格したチームが翌年に降格することが多い中で、なんとか新たな風を吹かせたい…そんな思いで走り出した2019年でしたが、大方の予想を覆すような結果を残すことができず、1年でこの舞台から降りることになります。

22試合で3勝17敗2分け(17得点40失点)。
この数字が示す通り、勝利が少ないことに加え、引き分けに持ち込むことができずに敗戦を重ねたという結果を重く受け止める必要があります。内容では圧倒されて手も足も出ないという展開はほとんどなく、手ごたえを感じながらも90分通すと守備が我慢しきれない、攻撃では得点を取り切れない…これが今年を象徴した試合でした。先制されたリードを巻き返す粘り強さや反撃のエネルギーがなく、僅差の敗退の中でもこの1点の大きな違いを感じたリーグ戦でした。つまり、相手はリードしているがゆえにリスクを負った展開にする必要がなく、追加点を取らなくても勝利できる自信を持っていたということになります。言い換えれば、こちらの攻撃が脅威ではなかったということです。「いい戦いができているのにな…内容は悪くないのにな」というある意味での誤解が、勝利への追求と最後の詰めを逃していたと、恥ずかしながら今になって感じているところです。
もちろん通用した部分もありますが、通用しなかった部分が多かったから勝てなかった。テクニック、フィジカル、メンタル。互角なら、互角以上なら勝点はもっと積めたはずで、互角ではなかった。ただただ力が足りなかった…それだけを受け止めて前に進んでいくしかありません。

なかなか勝利をつかむことができなかった今シーズンは、これまでの勝ち続けてきた指導者の階段とは全く違ったものでした。流れを引き寄せる采配、絶妙なタイミングで修正を加えるコーチング、チームを勝利へ導く明確な方向性、どれをとっても自分に足りないものばかりでした。試合当日の指揮だけでなく、試合を迎えるまでのチームマネージメントや選手の育成など、2部リーグまでは浮き彫りにならなかった敗因が溢れるように身の周りからこぼれ出てきました。やらなあかん、なんとかせなあかん…そんな監督としての過敏な覚悟が先行し、目先の勝負にこだわり続けた結果、自分だけでなんとかしようとするがどうにもならず、指導者一人の力の限界を突き付けられました。チームが継続して力をつけていく、発展していくために、監督が出ていくところと他のスタッフに任せるところ、選手自身に任せるところ、責任や役割をそれぞれが果たしていく組織を作り上げていかねばならないと痛感しました。これも1部リーグで戦えたからこそぶつかった大きな壁であり、大きな経験だと感じます。

降格するよりは残留できたほうがいいことは百も承知ですが、この1年は私にとっても選手にとっても非常に価値のある時間だったと思います。未知の世界が未知でなくなり、また絶対に戻ってきたい場所、戻らなければならない場所になったからです。充実感や達成感は人を幸せにし、次なる意欲を与えてくれます。一方で、敗北感や苦い経験は人を落胆させますが、前者からは得られない成長のエネルギー源にもなると考えています。だから人は厳しい環境に身を置き、自分を試し、もがきながらも成長していくのだと思います。そこで懸けてきた分だけそれらの感情は大きく揺れ動きますが、どんな結果になろうともそこで終わりということはありません。サッカーには続きがあり、人生には次が待っています。だから、この1年の苦みを消し去るために、この苦みがあったから成長できたと胸を張って言うために、また歩みを進めていきます。

いい指導とは、いい指導者とはなんだろうか…常日頃考えさせられる難問です。これまで出会ってきた尊敬すべき指導者に共通して言えることは、その人自身が魅力的であるということです。「この人、何を言うんやろう?どんなこと考えてるんやろう?」そう思わせたなら、選手は発言に耳を傾けます。変化球がないと、いいことを言っても砂浜に書いた字のように消えてゆきます。反対に石に刻まれた字のように残るのは、正論ではなくタイミングとフレーズだと感じます。要は、受け手に権利があるコミュニケーションにおいて、その人を覗きたくなるような魅力が必要不可欠なのだと。そのために、学び続けること、たとえ牛歩でも歩みをとめずに進んでいくこと、信頼に値する人間であることの必要性を再認識し、来シーズンを変化・進化の年として位置づけて自身の成長をチームの成長につなげていきたいと思います。

近畿大学の皆さま、応援に駆けつけてくださった関係者の皆さま、本日はありがとうございました。