本日行われた公式戦の結果は以下の通りです。

1部-2部A入替戦
vs.大阪学院大学(10:30キックオフ) 場所:J-GREEN堺 メインフィールド

1-0
(前半:0-0、後半:1-0)

【得点】仙頭(PK)

こんなドラマチックな終わり方があるのか・・・と疑いたくなるほど言葉にならない衝撃的な一日となりました。先週の自動昇格をかけた大阪産業大学との試合に敗れたことですべてが終わったかのようなショックに襲われ、モチベーションが上がらない一週間のトレーニングの始まりでした。それは、2010年を最後に入替戦で2部Aの大学が1部の大学に勝利したことはなく、7年間14試合のすべてが1部チーム残留という結果が出ていたからです。自動昇格と入替戦の差が大きいことを理解していた部員は、その目線を今日の大阪学院大学へ向けることがなかなかできませんでした。しかし、そのジンクスを本学サッカー部が見事に破り、創部4年目で掴んだ初めての1部昇格に会場が沸きました。

気持ちでは切り替えているつもりでも、頭の中では「あの試合の引き分けが痛かったな、失点が痛かったな」と自動昇格を逃がした過去を何度も振り返っている自分がいました。それでも、まずは自分が前に進まなければいけないと言い聞かせ、選手の気持ちを推し量りながら言葉がけと働きかけを繰り返しました。相手の映像を見せたほうがいいのか、細かい情報まで伝えるべきなのか、初めての入替戦に向けてどのようなトレーニングをすれば勝てるのか…。答えは見つかりませんでした。結果はもちろん大事ですが、それよりも大切なことを忘れている気がしてただひたすら悩みました。そして、色んな角度から自分を見つめて気がつきました。選手を見ずに自分のことばかり気にしている…頭を殴られたような鈍い衝撃を受け罪悪感とともに襲われました。
その気づきから正気を取り戻し、進むべき道が開けてきました。私の願いは、持てる力を出し切った先のみんなの清々しい顔が見たい。それが結果に繋がる、と冷静になることができました。

試合前のミーティングでは、立ち上がりの重要性をまず示しました。勝利が絶対条件というレギュレーションにおいて失点は命取りであり、どんなにバタバタしようが押し込まれようが失点しなければ勝機は必ずやってくると伝えました。そして、入替戦の雰囲気と相手に慣れるまではどんな内容になろうと割り切ってプレーするように求めました。2つ目は冷静と情熱。「勝負どころを見極めるにはただがむしゃらに熱く戦うだけではいけない。ゴールを決める、ゴールを守るといった最後の局面では落ち着きが必要。心は熱く、頭は冷静にプレーしよう」そう伝えました。
最後は「思いを形に」すること。スタジアムの雰囲気を作ってくれる応援団、たくさんの関係者、見守り続けてくれた家族、ここまで共に戦ってきたチームメイトに感謝し、その思いを結果で返そう。何よりも大舞台に立つことができる自分に自信を持って戦おう。これが今年のチームに伝えた最後のミーティングでした。

試合は予想していた立ち上がりとなりました。お互いに慎重なプレーを心がけている印象で、ボールをうまく動かしたりコンビネーションを発揮したりすることができず、粘り強くしっかり守ってマイボールの時間を窺っていました。前節と違うところは、ベンチから声をかけなくても全員がコーチングを意識して連携を図り、ミスを必死でカバーする献身が光っていたところです。ただブロックを作って守るだけでなく、ボール保持者に対してしっかりアプローチをかけて相手の自由を奪いに行く姿勢も見事でした。何度かイージーミスからピンチを招きましたが、最後の局面では相手に仕事をさせず集中した守りで攻撃をシャットアウトします。攻撃ではなかなか起点ができずにいましたが、セットプレーから決定機をつくり、相手に圧力をかけていきます。互いに攻め手を欠く内容で前半が終了します。

ハーフタイムは選手同士で細かい修正を加え、少し劣勢だった前半の振り返りにおいてもポジティブで建設的な意見が多く出ていました。私からは、攻撃の終わらせ方をはっきりすることや奪ったボールの処理の仕方を指摘し、勝負は60分以降にやってくると伝えました。前半の終盤に相手の戻るスピードが少し落ちているように感じたので、ハードワークできるこちらに後半はチャンスがくると予想しました。

前半とは打って変わって後半は序盤からペースを握ります。サイドを起点に相手陣内へ進入し、奪われたあとの切り替えが勝ってルーズボール・セカンドボールを拾い始めます。これが関福ペースです。分厚く攻めながら徐々にゴールに近づき、後半17分に急展開が訪れます。自陣でボールを奪った棚町からスピーディにボールを繋いで相手陣内へ。そしてDFラインの背後へタイミングよく動き出した仙頭と西尾のアクションについていけず、相手DFがファウルで仙頭を止めてPK獲得。会場のボルテージが一気に上がり、仙頭が蹴るボールの行く末を誰もが固唾を飲んで見守りました。これまで数々のプレッシャーを跳ね除けて当たり前にPKを決めてきた仙頭は、今日も当たり前に決めてくれました。待望の先制点にスタンドから歓声が上がり、ベンチからも喜びを爆発させました。得点が動いたことでピッチ内の緊張感がより一層高まり、1プレーの重みが増します。得点直後に訪れた最大のピンチは、ゴールライン際で中島(大)がボールを蹴り出し、相手の猛攻を凌ぎました。このピンチを乗り切った後は、入替戦とは思えない落ち着きと集中力で全員がボールを動かし、切り替え、戦い、走りきりました。歓喜の瞬間が近づくにつれて時計を見る回数が自然と増え、ピッチにいる選手よりも自分のほうが冷静さを失っていました。

アディショナルタイムの目安3分が経過…ついに試合終了を告げる主審のホイッスルが鳴り響きました。

本当に現実なのか・・・4年間のサッカー部への思いが溢れ、涙腺が壊れてしまいました。ピッチ上でもどちらが勝ったのかわからないぐらいに倒れこむ選手たち。この試合に臨む覚悟がひしひしと伝わり、入替戦の難しさを物語るタフな展開をものにした選手は、その光景を6月の関西選手権と重ねたかもしれません。のどから手が出るほど欲しかった1部への切符を手にしたこの結果は、間違いなく選手たちの努力の賜物であり、何物にも代えられない記憶に残る1勝です。関福の歴史が動いた12/2(日)を忘れることはないでしょう。

喜びが爆発して泣いたことなんてあったでしょうか。自分の現役時代でも悔し涙ばかりの思い出しかありません。サッカーの不確実さが期待や不安を煽り、奇跡やドラマを生みます。4年で1部昇格というミッションを達成したことで、私自身は劇的な勝利の喜びよりも選手たちの成長を確信した安堵感のほうが大きかったです。トレーニングでは手応えをつかんだり自信をなくしたり、選手に助けられたり悩まされたり、試合では喜んだり悔しがったり、ホッとしたり落胆したり。刺激的な日々を振り返ると、充実という言葉を飛び越えた濃い日常が生活を埋め尽くしていました。チームの結果も選手の不満もすべて受け入れなければいけない、選手の4年間をしっかり背負わなければいけない責任とプレッシャーに耐えられないこともありました。次、次がある…と口では言うもののチャンスなんてそう何度もなく、今日は背水の陣で挑んだ入替戦でした。自分が見てきた選手は1部の大学を相手に堂々と戦い、信じた分だけ力を発揮してくれました。精神的な強さと熱意は時に身体能力よりもはるかに大きな力を出すことを教えてくれました。そんな関福サッカー部は、今季最後の試合で完成度の高いチームへと進化しました。

4年生が残してくれた最高の贈り物を大事に守り、育て、羽ばたかせるミッションが始まります。未来がどうなろうが知る由もありませんが、今は本当に希望に満ち溢れています。第1章から第2章へと続く関福サッカー部の歴史を、これからも温かく見守っていただければ幸いです。

すべてを出し切ったその先に、清々しい顔が見れたこと。その付録に結果がついてきたこと。
思いを形にしてくれてありがとう。

大阪学院大学の皆さま、応援に駆け付けてくださった関係者の皆さま、本日はありがとうございました。