2022年の関西福祉大学サッカー部の活動も残すところあと2日となりました。大寒波の訪れにより、気温も下がり各地では大雪を観測する本格的な冬が到来しています。そんな厳しい寒さとは対照的にカタールの地では36年ぶりにアルゼンチンがワールドカップの優勝を飾り熱く感動的なシーンをテレビで観戦しました。日本代表の躍進や他国の国を背負った真剣勝負に心動かされサッカーの奥深さと人々を感動の渦に巻き込むことができる魅力から改めてサッカーの素晴らしさとそれを仕事にしている喜びを感じることができました。

 今シーズンも多くの方々に支えられて1年間安心して活動することができました。サッカー部を支えてくださった株式会社デイリーエッグ様、赤穂化成株式会社様、大学関係者の皆さま、赤穂市の地域の皆さま、サッカー部に関わるすべての方々、日ごろから多大なるご支援をしていただき本当にありがとうございます。この場をお借りして感謝申し上げます。そして、中田監督、吉岡コーチ、那谷コーチ、選手たち、マネージャー、毎年激動の一年を陰で支えてくれる妻、子供たちにも感謝したいと思います。ありがとうございます。

 そんなワールドカップイヤーでのサッカー部の活動は、関西学生サッカーリーグ1部リーグ7位、総理大臣杯2年連続出場と『果敢』というスローガンを胸に結果だけでなくサッカーの質の部分でも観るものを魅了し、多方面から注目を浴び、力強く、時にはエレガントな素晴らしい戦いぶりをみせてくれたと思います。

 さて、私が担当しているBチームは主将の辻田を中心に昨年を上回る結果と支配率を高め主導権を握るサッカーの追求に力を注ぎトレーニングに励みました。結果はというとIリーグAブロック7位、Bブロック6位と力及ばず中位でフィニッシュ。昨年の結果を上回ることは叶わず、非常に悔しいシーズンとなりました。勝負の世界ですから当たり前ですが、勝者と敗者がうまれます。結果を出すことはできませんでしたが、選手の目標達成に向けたチャレンジは昨年とは違う新たな刺激になったのではないでしょうか。チャレンジしてきたことが全く出せない試合もあり、選手たちがこの戦術では勝てないと半信半疑でプレーしたり、自信を無くしたりした時があったと思います。選手たちに合った戦術、システムを構築しできることを増やして結果を残していくことは指導者の責務です。積極果敢な選手たちの能力を引き出すことができなかったこと、競争力を向上させていけなかったこと、それも指導者の力量の問題。そういった部分には実力不足を感じます。そんな中でも辻田、笹部、三島、西山、永野、濵ノ園の4回生がチームのため、未来のBチームの発展のため感情をグッと押し殺しながら戦い、こちらの意図を汲んで後輩たちに働きかけ掲げたコンセプトを達成させるための環境を最後まで作ってくれチームのレベルを引き上げてくれました。もちろん4回生だけでなくBチームに関わった選手たちがコンセプトを徐々に理解し最後まで突き抜け走り続けてくれたことには感謝しかありません。その精神力の強さに脱帽です。

選手たちは我慢することが多くあったと思います。我慢とは目の前の壁を乗り越えるための準備の時間、相手に勝つために力を蓄える時間だと思います。ただ耐え忍ぶだけというのは本当の我慢ではありません。我慢とは途中でやめたり投げ出したり諦めたりして自分の心を無視することではありません。起きた問題を解決する方法を考え続けることだと思います。そういった意味でも選手たちはうまくいかないトレーニングや戦術をこなすだけではなく、うまくいかないことや苦しい部分に我慢しながらも次につながるよう研ぎ澄まし試行錯誤しながら努力してくれていたのではないでしょうか。Bチームとして1年間やってきたことに悔いはありません。一瞬の判断、その時にしかできない決断は今までの経験と知識を活かしその日、その一瞬の時点での100%の力は出すことができましたし、私でなければできない決断を下すことができたと自負しています。また、新たな経験として良いアイディアや正しい答えが出てから行動するのではなく、すぐにやることの価値をより理解できました。正しい答えが出てからの行動ではなく「すぐにやる!行動する!」ことで結果は別として多くのチャンスを自ら創り出せたと感じています。すぐにやることの意味はそこにあると感じます。そしてこれまでの人生で何層にも積み重なった経験に新たな経験がプラスされ大きく成長できました。持っている最大限の経験を活かせたこと、その経験をポジティブに変えるエネルギーと考える力、行動する力が磨かれたことで自信が増したのを実感しています。

 7年間の指導現場での経験から、今という一瞬、今日という日は本当に『特別(スペシャル)』だとより一層強く感じるようになりました。私だけでなく選手たちの今と未来に関わっているからです。今日という日はこれまでの人生の中でもっとも経験を重ねた日、そして未来の私と比較したときにもっとも未熟な日の二つの意味があります。最高位の自分には胸を張って自信を持ち、最下位の自分には謙虚になりしっかりと地に足をつけ一歩ずつ富希(トキ)をかけていこうと思います。過去の自分を追い越し今の自分に磨きをかけ、刺激的で希望に満ち溢れた未来につなげられるよう精進していきます。

ヘッドコーチ 西野 誠