2021年シーズン、すべてのカテゴリーのトレーニングが終了し残すところは明日の蹴り納め、納会のみとなりました。チーム活動最終日を明日に控え、1年間を少し振り返りたいと思います。

 昨季1部リーグ昇格を逃し、2部リーグでの戦い2年目となり迎えた今シーズン。 「進化」というチームスローガンを掲げ、130名という創部以来最大の部員を抱える大所帯となりスタートを切りました。シーズン当初は未だに収まる気配を見せない新型コロナウイルスとの共存を試行錯誤しながらチームの運営、強化を目まぐるしく駆け回る日々の連続で終わってみればあっという間。そんな表現がぴったりなシーズンであり、歳を重ねると年々1年が早く過ぎると言いますが、まさにそういった1年であったと感じます。

今シーズンは未だかつて本学サッカー部が見たことのない景色を体験し、足を踏み入れたことのなかった経験をさせてもらいました。その表面上に現れた結果以上に、細部にまでこだわる最善の「準備」と自らのタスク(役割)と責任を理解し目標達成に向けて歩みを止めずにただただ前に進むことができる「覚悟」を持った姿勢というものを間近で見られたことが自らの一番の収穫となりました。

「準備」―――物事をする前に、あらかじめ必要なものを揃えたり態勢(体制)を整えたりして用意すること。と記されています。サッカー(特に試合)において、単なる「準備」をして90分間の試合を安心・安全に終わらせることは可能であっても、我々の目標・目的を達成するためには「準備」をするだけで物足りません。勝負の世界においては【最善の準備】ができたかどうかが問われます。その最善の準備に時間をかけどれだけ緻密にそして丁寧に、あらゆる予測や仮説を立てながらできたかどうかによって勝敗は変化し、勝敗に対しての感情は変化します。やることをやったうえで結果(勝敗)は神のみぞ知る、あとは時の運だ、とまで言われることがあります。今シーズン最善の準備をして臨んだとしても敗戦を味わい、連敗を喫し昇格に向け暗雲立ち込める時期を経験しました。しかしその際に、これだけ準備して負けたのであれば仕方ない、次だ!と未来に向けた一歩を踏み出せるのか、もっとやれることがあったのではないかと過去を引きずりながらの一歩では大きな違いとなり、1年間という長いシーズンでみれば大きな差となり現れてきます。【最善の準備】を勝敗に関わらずただひたすらに行い続けてきたからこそ、最後には最高の結果を手にすることができたのではないかと感じます。

「覚悟」―――危険なこと、不利なこと、困難なことを予想して、それを受け止める心構えをすること。これは選手から感じた、学びを得たことです。「覚悟」がない人は言い訳や文句、人やもの、環境のせいによくするものです。しかしながら自分が試合に出たい、点を取りたい、活躍したいそんなサッカー選手である以上当たり前に持っている自らの欲を自制し、ただチームの目標の為、チームの価値向上の為、チームの後輩たちの為、といった真っ先に“チーム”に対して何ができるのか、どのように貢献できるのか、何を残せるのかといったことを強く感じました。「覚悟」という武器を持った選手は、ひとつひとつの行動に責任感が増し、発言に重みを感じ、周りの人を共感させ巻き込んでいく。それがやがてチームを良い方向へと導き結果を出す集団へと変貌していく。そういった「覚悟」をもった選手が存在し、チームが変化しそして大きな結果を手にするといった過程を間近で見ることができたことは何にも代えがたいそんな素晴らしい経験、財産となりました。

昨年に引き続き担当させてもらったC1チームでは、「チームスタイルの確立」「選手の特徴を最大限に生かす」この2のことを軸としてチーム強化に取り組みました。C1チームはどんな状況においてもひたむきに、そして真摯に一生懸命取り組むことのできる才能を持ち合わせた選手が非常に多くいたと感じます。日頃のトレーニングでの姿勢には目を見張るものがあり、感心させられることもしばしばあったなと感じます。そのような中で昨年同様にもっと公式戦(Iリーグ)の機会が設けられ、緊迫感や緊張感を味わうことができれば更にチームとしても個人としても成長速度を上げることができたのではないかと日々感じながら指導をしていた1年でありました。

昨年と比べると勝ち星、勝ち点が増加し、失点数や大量失点で負ける試合も減少しましたが、残念ながらAチームやBチームのような躍進というような目覚ましい結果を残すことはできませんでした。ただ昨シーズンと比較し、トレーニング強度は格段に上がり試合でのスピード感やタフさを身に付け「ゴールを奪う(ゴールに向かう)/ゴールを守る(ボールを前から奪う)」といったサッカーの本質の追求に時間をかけ少しずつチームスタイル、強みを共有して積み上げていったように思います。またオフザピッチやトレーニング以外においてもC1主将の中尾未来を中心とした4回生がチームの礎、スタイルを積み上げてくれました。自分が試合に出場するか否か、チームの勝ち負けに関係なく、練習を休まない、遅刻をしない、トレーニング時にはソックスをしっかり膝まで上げる、トレーニングセッション間をスムーズにする、クールダウンをしっかりとするなどといった当たり前でしょ。と思うようなことですが私がここに着任した時には、おいおい、、、というような状況でした。しかし1年通じて徹底して地道にやり続けチームの基準を示し、向上させてくれました。

Aチームが総理大臣杯(全国大会)出場を決めた翌日、1部昇格を決めた翌日にC1チームの選手たちには2つのことを話しました。1つ目は「この結果はチーム全員で手にしたものである」ということ。なぜなら、公式戦をする為には会場の設営や運営、準備やボールパーソンといった日の目を浴びない役割を担っていた部員がいたからこその結果であり、それもまたそれぞれの立場においてのチームへの関わり方の一つでありなくてはならない存在であるからです。もうひとつは「全国大会に出場する、1部昇格するチームの一員である」ということ。Aチームが全国大会や1部昇格を決めたピッチという最前線の場所で戦ってはいるが、関西福祉大学サッカー部としての戦いであるということ。そこにはAチームであろうがC1チームであろうがカテゴリーは関係なく、全国大会に出場する、1部昇格するチーム、そして選手たちの立ち居振る舞いや自覚、責任が伴わなければいけないからです。

Aチームが最前線で歴史を動かす結果を出すことによって、各カテゴリーの役割や自覚といった部分に磨きがかかり、一人ひとりの帰属意識が増すことに繋がっていくのだと感じました。結果を出すことだけを目標にしてはいけませんが、結果を出すことにより得られる学生スポーツの良さや価値、在り方を再確認することができ非常に有意義な時間を過ごすことができたシーズンであったと感じています。

2021シーズンを突っ走り、無事にシーズンを終えることができたことを嬉しく思います。最後になりましたが、1年間本当に多くの方々に支えられ、応援して頂けたこと深く感謝いたします。

本当にありがとうございました。

C1チーム 4回生の面々とマネージャー萌華
昇格決定戦の前々日、赤穂大石神社へスタッフで必勝祈願

C1チーム担当  吉川 拓也