創部5年目にして掴んだ念願の1部リーグ。開幕2戦目にして初めての勝点1を手にし、4戦目にして歴史的初勝利を挙げることができました。しかし、その後は1勝どころか勝点1すらも奪えずに7連敗を喫して最下位でリーグを折り返すことになりました。なぜここまで負けが続いたのか・・・様々な要因が考えられますが、自分なりに振り返ってみました。

1つは先制された試合が11試合のうち9試合と非常に多く、追う展開・時間が長いことで安定したパフォーマンスを発揮できなかった点です。これまでのリーグとは違い、圧倒的な内容や支配し続ける展開は少なく、相手との駆け引きの中で数少ないチャンスをものにしていかなくてはならない試合がほとんどです。また、対戦相手すべてが兵揃いであり、各ポジションにスペシャリストが名を連ねるチームに対し、失点が命取りになることをもっと重く受け止めてピッチに送り出すべきだったと思います。伝えてはいるつもりでしたが、前半終了間際や後半の立ち上がりに失点する試合運びの拙さをみると、もっとチーム全体で徹底・共有すべき反省点であると感じます。
幸先良く先制できれば選手・チーム全体の流れは良くなり、自然とポジティブな空気になっていきます。しかし、失点してしまうと精神的なダメージを受け、気持ちが沈んでしまったり失点を引きずってしまったりしてしまいます。このメンタル面の脆さが2つ目です。2部リーグでは負けが続くことはあまりなく、さらには先制して主導権を握って試合を進めることが多かったと思います。そこでぶつかったのがリバウンドメンタリティと劣勢を跳ね返す修正力の欠乏です。得点による蘇るエネルギーと失点による大きなダメージはサッカーの流れを象徴しているように思いますが、そのダメージをどのチームよりも短い時間で取り返すメンタリティ、何事にも動じない心と雑草魂のような頑強さが必要不可欠なのかなと感じました。

最下位だから前期リーグが無駄だったかというと、決してそうではありません。厳しい戦いのなかで選手たちは自信をつけたり手ごたえを掴んだりする部分があり、1部のスピードに慣れ、対等(対等以上)に戦える場面もたくさんありました。打つ手がない試合などなく、ミスや失点、得点から多くの学びと経験を得ることができました。
ただし、選手自身が一番分かっていることですが、最後は結果です。通らなかったパス、奪えなかった得点、ついていけなかった相手の動き、防げなかった失点・・・この小さな経験を後期リーグにどう活かしていくか。口酸っぱく発している日頃のトレーニングの意識改革と積み重ねしかないと思います。

私自身もたくさんの失敗と学びがありました。その失敗をいつまでも悔やんでいるわけにはいきません。前に進むために、未来を変えていくために、「今」その失敗から得られた種を成功へとつなげていきたいと思います。そんなことを考えていると、2012年に出席したある講演「勝者の思考法」を思い出しました。
「ギャンブラーは運を天に任せるが、勝負師は最後まで自分で運を仕切ろうとする。まさに、前髪しかないと言われる勝利の女神の髪の毛を何が何でもつかみとる執念である。」
「強者は勝者にあらず。弱者は敗者にあらず。プロジェクトというのは最後はリーダーの覚悟と度胸で決まる。」
チャンスや上昇のきっかけを待つのではなく、自分から動いてつかみにいく。この講演の突き刺さる言葉の数々を心に刻み、前期の反省とともにもっと成長を加速させて後期リーグを迎えたいと思います。
簡単じゃないから面白い。

 監督 中田 洋平