Iリーグ(前期)の日程は7/6の試合を最後に終了しました。

※前期の成績(7/11現在)
 関西福祉大学A
  1勝5敗(Aブロック10位)
 関西福祉大学B
  4勝1分1敗(Bブロック3位)
 関西福祉大学C2
  1勝1分4敗(Dブロック8位)

今年は3チームを担当することになり、より多くの経験をさせていただきました。
各チームで特徴が違うため、そのチームにあった言葉掛けの部分では少し難しさを感じ選手の能力を引き出すのに苦労しました。

【関西福祉大学A】
(成果)
①守備の意識
 トップチームのトレーニングでは守備の働きかけが多くあった。3ラインをコンパクトに保ち前線からの連動した守備は日を重ねるごとに精度が増していった。お互いの距離感を意識しながら奪う場所を共有して迫力ある守備も何度も観られたのでさらに磨きをかけていきたい。

②出場機会の少ない選手に試合経験を積ませる
 なかなか出場機会に恵まれない選手たちにとっては試合勘を鈍らせず経験を積むことができたと思う。これは今後の選手の成長を考えると非常に大きなアドバンテージだ。しかし勝負へのこだわりには少し物足りなさを感じた。この部分を疎かにしてはならない。勝負にこだわった中で経験値を上げ質のレベルアップをしてこそ個のプラスになる。AとBの混合チームのためコミュニケーションや判断の共有、プレースピードの部分で少しストレスを抱えた状態で試合に臨むため難しい試合展開が多かった。うまくいかない状況を試合中に修正し柔軟な対応で打破していく能力も備えていかなければならない。

(課題)
①意図的なボールの動かし→攻撃へ (プレースピード・プレー精度・状況判断の質)
 ビルドアップの部分で自陣で失う回数が目立った。オフの質(ボールを受ける前の準備)、テンポとパススピードを上げ意図的にボールを動かし相手の陣形を崩して手薄な方から前進する機会を増やしたい。ボールへの関わりとプレーの連続性、他の選手とのイメージの共有(アイコンタクト・連携)など高めなければいけない質は多くある。あとはシンプルに止めて蹴る質の向上は必須だ。パスを通す、ファーストコントロールの質、相手をかわすアイディアなど確かな技術と判断は急ピッチでレベルアップしていかなければならない課題である。

②あまりに簡単な失点
 6試合で15失点はネガティブな要素だ。コンパクトな陣形を保ち連動した迫力のある守備は光る場面ももちろんあったが、掻い潜られた時の守備には少しもろさを感じた。スピードがある選手やフィジカルの強い相手FWと入れ替わられての失点やセットプレー、ルーズボールの処理のミスでの失点など軽さがみられる場面があった。個の能力の引き上げや個人戦術の理解を高めることも必要だと痛感した。軽い失点の影響でチームとして立て直せない時間帯が続くこと、上級生のリーダーシップの欠如も試合の中で感じられた部分でもある。後期の巻き返しに期待したい。

【関西福祉大学B】
(成果)
①90分通したハードワークと高い守備意識
 全試合で90分を通して選手たちのハードワークは評価したい。特に最終節の大阪産業大学戦は高い集中力とインテンシティを保った試合を展開することができた。試合に勝つためのプレーの選択と高い守備意識もチーム全体として意思統一がみられた。時間帯や相手との力関係からハイプレス、中盤でのプレス、リトリートをうまく使い分け、選手間の共有ができつつあったように感じる。

②先制点
 6試合中4試合が先制点を奪っていることもあり試合を優位に進めることができた。これは粘り強い守備の成果や積極的なゴールへのアクションも大きな要因だと思う。失点しても連続失点をなくし立て直すメンタリティも一人一人備わってきている。

③幅を使った攻撃
 高い守備意識からボールを前向きで奪い、そのボールを前線へ供給して相手陣内に枚数をかけて仕掛けていく回数が増え攻撃の厚みを出せた。その中でも幅を使った展開が随所に観られ相手を揺さぶりながら仕掛けていく攻撃には迫力もあり決定機を量産できたと思う。6試合で21得点を奪った攻撃陣を高く評価したい。もちろん攻撃につなげるために粘り強い守備で貢献した選手たちも評価する。

(課題)
①自分たちのボールを簡単に失う
 6試合を通して21得点と攻撃陣は爆発しているが、奪ったボールやルーズボール、ビルドアップでのボールロストはまだまだ多い。プレー・判断スピードの遅さ、状況に合わないプレーの選択によりボールを失う場面が多く観られた。 そのため勝っている状況でも試合に落ち着きがなく、試合の中盤や終盤の進め方がうまくいかないことがあった。後期はこの課題の克服が勝利のカギになると考えられる。意図的にボールを動かして仕掛けていくため、試合をより優位に進めるためにボールを失う回数は圧倒的に減らさなければならない。判断の質、技術面の向上は間違いなく一番の課題としてあがるだろう。

②ラストの精度
 幅を使ったダイナミックな攻撃で相手のバイタルエリアまでスピーディに進入する回数は増えたが、ラストの精度には多くの課題を残すこととなった。クロスボールやスルーパスが引っかかる、タイミングの悪いアクションでオフサイドにかかる、ゴール前の数的優位の状況でも強引な突破を選択し得点につながらない場面など、21得点をあげてはいるものの、まだ得点を奪えるシーンはあったと思う。ラストパスの質、駆け引きなどオフの動きの質、タイミングの質、オンとオフの意図・アイディアを合わせることなど、ゴール前の攻撃のレベルアップも重要課題の一つだ。

【関西福祉大学C2】
(成果)
①3ラインをコンパクトに保った粘り強い守備
 前期を通して特に守備への働き掛けを多くしてきた。7/6に行われた立命館大学との一戦では3ラインをコンパクトに保った粘り強い守備が光った。相手にボールを持たれる時間が長く危ない場面やポストに救われる場面が何度もあったが、高い集中力を保ちスライド・プレスバック・ラインコントロールを90分間意識し闘い続けてくれた選手を評価したい。修正する部分も多くあるが、それでも大きな成果を上げてくれたと思う。この全員のハードワークは標準装備にしていきたい。

②積極的な取り組み
 C2結成当時よりも選手たちのトレーニングに取り組む姿勢が良くなった。Iリーグの試合を経験していく中で、声を出す選手やコミュニケーションをとる回数が増えポジティブな雰囲気がつくられるようになった。人数も少なく紅白戦やセットプレーなど思うような練習ができない中で一歩一歩ではあるが改善していこうとする姿がとても印象的だ。練習での取り組みは間違いなく試合の結果につながるので全体の雰囲気や選手たちの姿勢を大事にし質の部分を追求していきたい。

(課題)
①基本の質、個人戦術
 基本の質の底上げが非常に重要だと感じる。止めて蹴る技術の向上(パスの精度、パススピード、意図を持ったファーストコントロールの質、キックの種類など)、動きながらのプレーの質、イメージ(判断)の共有、個人戦術(攻撃・守備の優先順位、相手との駆け引き、スペースの認知、ボール・相手の状況に応じたアングルとサポート、ポジショニング)の部分は的確な判断が下せるように高めていかなければならない。

 Iリーグを通して備えなければならないプレーの判断が不足しているように感じる。やはり個のレベルアップは必達の課題だ。基本の質(止めて蹴る、動きながらのプレーの質)、プレースピード、プレー精度、個人戦術の理解を高めていかなければならない。個の質が上がれば組織全体のベースもアップできる。アグレッシブかつスピーディなサッカーを掲げている中で自分たちがしっかりとボールを保持して意図的にボールを動かし攻撃へとつなげていくためにも選手一人一人がレベルアップするための意識改革と努力をしてもらいたい。
 指導者である私は切磋琢磨できる環境、武器に磨きをかけながら甘さがそぎ落とされていく環境、質の高いトレーニング環境を常日頃つくり、選手たちにサッカーがうまくなったと実感できる指導を追求していかなければならないと感じる。自分自身にも磨きをかけて選手と一緒に一歩一歩ポジティブに進んでいきたいと思う。

後期のIリーグは9月14日から開幕する予定です。後期はより質の高い戦いを繰り広げたいと思います!