早いもので気がつけば年の瀬が迫り、今年ももう終わりかと感慨深い思いに駆られながら走り抜けた一年間に思いを巡らせている。思えば、時の進む早さを節目節目で実感しながらもそこから目を背けて日々の時間を無駄に食いつぶしていた若かりし頃。それから時は過ぎ、毎日を無駄に生きてはならないと思いながら日々生きる今、なぜかあの頃よりも時間の進む早さが加速しているように感じる。

 今年は何といってもトップチームが1年での関西1部リーグ昇格(復帰)を果たしたことが大きな成果だ。2部リーグの多種多様な条件下での試合に苦戦を強いられながらも焦れず諦めず、そして粘り強くシーズンを戦い抜いた選手たちには心から賞賛と労いの言葉を贈りたい。昨シーズンの2部降格の悔しさを胸に刻み「打破」という今シーズンのチームスローガンを文字通り全力で体現してくれたと感じている。

「簡単ではなかった」という一言では片づけられないほどの重圧だったと思う。

一節ごとに移り変わる上位争いの状況。好調も束の間、些細なきっかけから一瞬にして境地に立たされる。喜びから一転して困難な状況に追い詰められた時に感じる何とも言えない焦りや悲壮感。時には負傷者が多発し常に総力戦で戦い抜いた。諦めるための良い訳を探す気になればいくらでもあったと思う。しかしそれを選ばなかった選手たちの目からは今シーズンにかける強い覚悟を感じた。全てを背負ったうえでそれらを打破して成し遂げた結果は紛れもなく本物であり、本物の経験は確実に自分自身の血肉になるだろう。そしてその昇格の背景には常に試合後の審判や役員などの裏方の仕事を文句も言わず真剣に取り組んでくれたチームメイトがいた。試合後の選手を乗せたチームバスが帰路につく中、アウェイ会場で汗だくになりながら割り当ての審判をしてくれた選手を何度か送迎した。言葉にできない悔しさや葛藤を抱えながらもそれらを押し殺して彼らも一緒に戦っていたことを忘れてはならない。

 一方で私はCチームの主担当として「中位以上(4位以内)」という目標を掲げて2024 IリーグDivision,2 Bブロックを戦い、勝ち点24、9チーム中6位でシーズンを終えた。開幕スタートダッシュに成功し好調を維持した前期は5勝3敗0分で折り返したが、後期は徐々に失速し2勝3敗3分と負け越したことが重くのしかかり下位に沈んだ。勝ち点率や得点率などの各データは年々向上しつつも目標とした順位に及ばなかった。関福大サッカー部Cチームの歴史において初めてIリーグ年間シーズンで勝ち越し(7勝6敗3分)、確かな前進を示せているのも事実だが、それ以上に目標を達成できなかった悔しさが強く残っているのが正直な思いである。後期の失速を招いた原因は、前期の好調の背景に潜む問題を改善できなかったことが挙げられる。勝利を得ることで無意識に問題や課題の存在を霞ませ、あたかも「勝っているから良い。問題ない。」という認識を生んでしまったことが最大の問題でありその結果として後期の重要な試合で勝ち点を落とすことに繋がった。リーグ終盤に成熟度が増した昨シーズンから一転して自分自身の甘さ、選手の意識改革など課題を突き付けられたシーズンとなった。

 結果とプロセスは切り離せない。結果も出ていないにも関わらずプロセスや努力自体に満足するのはただの戯言(たわごと)だ。しかし一方で根拠のない結果は最も危険であることも事実である。なぜなら楽をすることが成功の近道だと思い込ませてしまうからだ。現実はそう簡単にはいかない。しっかりと現実を生き、リアルを追及し本物を積み重ねることで望んだ結果を自ら掴み取る努力を続けていきたい。本物を積み重ねた人間が持つ揺らがない実力、醸し出す雰囲気、発する言葉の端端からにじみ出る深みや説得力。「やってきた男」には人を引き付ける魅力がある。そんな指導者を目指してこれからも成長しチームに貢献していきたい。

 今年も全力で走り抜けた。酸いも甘いも経験できたこの実りある1年を念願の1部リーグ昇格という最高の形で終えることができて本当によかった。支えて下さった全ての方々にこの場をお借りして改めて感謝の思いをお伝えしたいと思う。良い時も苦しい時も常にチームや選手の味方になり、期待して支えて下さったことで苦しい時も戦い抜くことができました。本当にありがとうございました。

 来年は関西福祉大学サッカー部創立10周年の節目の年となります。記念すべき10周年を関西の大学サッカー最上位である関西1部リーグで迎えられる喜びとともに、1部リーグそしてその先に繋がる全国大会で10周年にふさわしい活躍をお見せできるよう全力を尽くしていきたいと思います。今後とも関西福祉大学サッカー部を宜しくお願いいたします。

関西福祉大学サッカー部 コーチ

吉岡 聡